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脱水症

脱水症について教えてください。

脱水症とは、体内の水分が足りない状態のことです。私たちの体は、全体重の 60 ~ 70 %、乳幼児では 80 %が水分で占められ、何らかの原因で水分が失われると脱水症を引き起こします。水分の割合によって、重症度は異なり、全体重の2%の水分を失うと、のどの渇きなどを自覚するといわれています。
 夏に多い熱中症は、高温多湿な環境で起こる健康障害のことで、体内の水分バランスが崩れたり、体温調節機能がうまく働かなくなると、体内に熱がこもり吐き気やだるさ、けいれんなどが表れます。つまり、脱水症は熱中症を引き起こす原因のひとつでもあります。
 また、脱水症は熱中症とは違い、一年を通して気をつける必要があるため、注意が必要です。

原因を教えてください。

人は適度な水分を摂取することで、体内の水分量を維持していますが、汗や尿として排出されるため、その分は常に水分を補う必要があります。通常はのどの渇きにあわせて、水分を摂っていれば脱水症に陥る可能性は低くなります。しかし、高齢者はのどが渇きにくい、トイレが近くなるため水分を控えるという人も多く、水分の摂取量が不足する場合が多いです。
 夏は胃腸炎などで発熱や下痢、嘔吐などがきっかけで、脱水症に陥る危険性も高いため、子どもや高齢者は特に注意が必要です。

どのような症状が出ますか?

最初はのどの渇きを自覚するようになり、失われる水分の量が多くなるにつれ、唇や肌の乾燥、立ちくらみや頭痛、食欲不振などが起こります。さらに脱水が進むと、血圧の低下や意識障害、体温の上昇、尿量の減少などが表れるようになります。体内の 10 %の水分が失われると重症となり、 20 %の水分が失われると死に至ることもあります。
 症状が軽いうちは、水分と塩分を摂取し様子をみてもいいですが、改善しない場合は、医療機関を受診しましょう。脱水症の原因や、年齢、体格、既往症などによって、補給量や補正にかける時間が変わります。頻脈や呼吸が苦しい、意識障害などがみられたら、深刻になっている可能性もあるためすぐに救急車を呼んでください。

予防法を教えてください。

脱水症を予防するためには、普段から水分を意識的に摂ることが大事です。特に高齢者や子どもは脱水状態になっていても気づかないことがあるため、周囲の人がこまめに水分補給を促すことが重要です。また、水分のほかに大量の電解質(体の中のカリウム、ナトリウム、マグネシウムなどのミネラル)も失われるため、塩分も一緒に摂取するのがポイント。たくさん汗をかいたときは、経口補水液やスポーツドリンクがおすすめです。飲み物から必要な水分を摂るのが難しい場合は、水分の多い野菜や果物を摂るなどの工夫をしましょう。
 ただし、大量の水分を一気に摂ると、血液中のナトリウム濃度が下がってしまい、めまい、頭痛、多尿(頻尿)、下痢などの症状が表れ、重症化すると嘔吐、錯乱、意識障害、呼吸困難などの症状が表れるので、日常で摂取する水分は1000~2000 ml の間で調整するように心がけましょう。

教えてドクター

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今回お答えいただくのは

岸本 久美子 先生

ハピコワクリニック五反田院長 呼吸器内科・アレルギー専門医

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