シミの原因と対策
シミができる原因を教えてください。
シミは、表皮の中に茶色いメラニン色素が沈着した状態です。紫外線を浴びると、皮膚にある色素細胞(メラノサイト)が反応してメラニン色素を作ります。これは、メラニン色素をふやして有害な紫外線を吸収しようとする体の防御反応なのです。作られたメラニン色素は表皮細胞(ケラチノサイト)に引き渡されて、約 28 日かけて皮膚の外に排出されます。これが、ターンオーバーです。夏に日焼けをして黒くなっても1か月もすれば元の肌色に戻るのは、このターンオーバーの周期が正常に保たれているからなのです。しかし、皮膚の老化によってターンオーバーの乱れが生じると、いつまでたってもメラニン色素が表皮のなかに残ったままの状態が続きます。そして、紫外線の影響がなくなったあとも、メラニン色素が次々と作られるという誤作動が起こり、 その結果シミとなってあらわれるのです。
シミの原因は紫外線や加齢だけではありません。ホルモンバランスの崩れや日々のストレス、睡眠不足など悪い生活習慣も肌のターンオーバーの乱れを招き、シミの原因となるのです。
シミの種類は?
シミは長期間放っておくと、しだいに盛り上がって「脂漏性角化症」という老人性のイボに変化していきます。高齢者のこめかみや頭にできる茶色くゴツゴツしたイボがそれです。これは心配なものではありませんが、赤く湿疹のようなシミには要注意です。別名「赤いシミ」と呼ばれる「日光角化症」は、皮膚がんの初期の状態です。シミには危険なものがあることを知っておいてください。
シミの予防策を教えてください
紫外線量は3月頃から急にふえはじめ、9月頃まで強く降り注ぎます。そして、秋、冬に多少弱くなりますが、休むことなく年間を通して降り注いでいます。1日のうちでは午前 10 時頃から午後2時ぐらいまでが紫外線量の多い時間帯です。この時間に洗濯物を干したり、買い物に行ったりするときは、たとえ短時間でも日焼け止めを塗ったり、帽子をかぶったりする配慮が必要です。また、衣服や日傘などは黒いものを選び、必要以上に肌を露出するような服装は避けてください。さらに、できるだけUV加工されたものを身に着けるようにして紫外線をしっかりカットしましょう。
アスファルトやコンクリートの道路は、紫外線を反射しやすいので散歩道にも配慮が必要です。また、くもりや雨の日でも紫外線は降り注いでいますから、紫外線対策は天候に関係なく忘れずに行ってください。
日焼け止め効果を示す指標としてSPFとPAがあります。それぞれ紫外線のB波とA波に対してどれだけ防御できるかを表しています。
SPFは数値で、PAは+の数で表されており、数値が高いものほど紫外線をカットする効果があります。表を参考にし、外出の時間や行先にあわせて選ぶとよいでしょう。ただし、数値が高ければそれだけ肌への負担は大きくなりますので注意してください。
日常生活での注意点を教えてください
正しいスキンケアを行うこともシミ予防のひとつ。肌をごしごしとこすると肌の表面が傷ついてシミの原因に。刺激の少ない洗顔フォームでやさしく洗い、毛足の長いやわらかいタオルで抑えるように水分を拭き取りましょう。乾燥もシミの原因につながるので、たっぷりと保湿を行いましょう。
また、シミを作らないために、食生活を見直しましょう。肌のターンオーバーを促すビタミンAやビタミンE、メラニンの肌への沈着を防ぐビタミンC、また、肌をつくる材料となるたんぱく質などを取り入れると効果的です。
シミはさまざまな原因で発生します。まずは日常生活できることから始め、シミができにくい肌をめざしましょう。
今回お答えいただくのは
赤須 玲子 院長
赤須医院/日本皮膚科学会専門医/美容皮膚科学会会員/医学博士