秋の乾燥対策
秋に肌が乾燥する理由を教えてください。
原因の1つが、空気の乾燥です。秋は夏に比べて湿度が 10%以上も低下するため、肌からの水分が蒸発しやすくなります。暖房をつけ始める秋は、室内の空気も乾燥しがち。うるおいが失われた肌は、「ごわつき」「かさつき」「くすみ」などの肌トラブルが起こりやすくなります。
また、夏に受けた紫外線も大きく影響しています。紫外線をたくさん浴びると、細菌や摩擦、乾燥などの外部刺激から肌を守るバリア機能が低下。秋にさまざまな肌トラブルを引き起こします。皮膚は 28℃以下になるとバリア機能が弱まるため、冬にむけて気温が低下し始める秋こそ、肌の乾燥を感じやすい季節なのです。
乾燥を予防する生活習慣を教えてください。
肌の乾燥を防ぐためには、保湿クリームなどで肌を外側からケアすることも大切ですが、食事による内側からのケアも欠かせません。積極的にとりたい栄養素の1つが、たんぱく質です。角質層には、肌のうるおいを保つために必要な天然保湿因子(NMF)が存在し、この因子の原料がアミノ酸です。そのため、アミノ酸を多く含むたんぱく質をとることが重要で、肉、魚、卵、大豆製品などに豊富に含まれています。
肌のうるおいをキープするには、皮脂も大切な役割を果たしています。皮脂には、水分が肌から蒸発するのを防ぐ役割があるため、皮脂の適切な分泌を促す良質な油をとることをおすすめします。亜麻仁油、エゴマ油、くるみ、青魚に含まれるオメガ3系脂肪酸を意識してとると良いでしょう。
また、腸内環境も肌の状態に影響します。善玉菌のバランスが崩れ、腸内環境が悪化すると肌のキメが乱れたり、古い角質がたまって肌荒れの原因に。善玉菌を増やすために、乳酸菌や食物繊維、発酵食品などを日々の食事で積極的にとってください。
乾燥対策に有効な肌ケアの方法を教えてください。
加湿器を利用したり、洗濯物の室内干しで部屋の湿度を 50~ 60%になるようにし、水分を保ちやすい環境を作りましょう。
また、洗顔時も注意が必要です。洗顔料を泡立てたら、たっぷりの泡でやさしく顔を洗います。肌は摩擦に弱いため、汚れやメイクを落としたいからとごしごしこするのはNG。必要な皮脂やNMFまで洗い流すことになり、肌のバリア機能の低下につながります。洗ったあとは、 40℃以下のお湯でやさしく洗い流します。
肌の乾燥予防には、スキンケアをするタイミングも大切。特に入浴直後の肌は、皮脂が洗い流されて、肌の水分が蒸発しやすい状態。お風呂から出たら 10分以内にスキンケアを行い、肌の水分が逃げないようにしましょう。スキンケアは化粧水→美容液→乳液・クリームの順で使用することで、保湿効果もより期待できます。乾燥しやすい秋は、保湿力の高いアイテムを使用したり、フェイスパックもおすすめです。
今回お答えいただくのは
赤須 玲子 先生
赤須医院院長。医学博士、日本皮膚科学会専門医、美容皮膚科学会会員