こむら返り
梅雨時期は、夏に向けて気温も上がってきます。そんな高温多湿の環境下で気をつけたいのが脱水症状です。また、脱水によりこむら返りも起きやすくなります。今月の健康情報では、こむら返りの原因や予防法をご紹介します。
◆◇ こむら返りとは1,2)◆◇
ふくらはぎなどに強い痛みが走る“筋肉のつり”。神経から筋肉への「動け」という指令にエラーが生じ、筋肉が縮んだままになった状態のことです。医療用語では「筋けいれん」と呼ばれます。
◆◇こむら返りはなぜ起こる?1)◆◇
実は、こむら返りの原因はよくわかっていません。「筋肉が疲れたときに、神経と筋肉の間の指令伝達がうまくいかない」「脱水により、体内の塩分やミネラルのバランスが崩れ、神経の過敏性に影響する」という2つの説が有力と言われています。
◆◇中高年で起こりやすいのはなぜ?1)◆◇
こむら返りが中高年に起こりやすいのは、筋肉量が減って、血行が悪くなり、疲労もたまりやすくなるためです。特に普段、運動をあまりせず筋肉が衰えていると、ちょっとしたことで「長時間運動したあとに脚がつる」のと同じような体の変化が起こりやすくなります。
また、加齢とともに体内の水分量も減るため、脱水が起こりやすくなるのも理由と考えられます。
ただし、なかには、使っている薬や、何らかの病気が原因の場合があります。様々な病気を抱えている人も増えてくることから、注意が必要です。
◆◇こむら返りが起こりやすい季節は?≫夏と冬1)◆◇
夏は発汗などによる脱水やミネラルのバランスの異常で、夜間に限らずこむら返りが起こりやすくなります。また、冬は運動量が減りがちなことに加え、「トイレが近くなるから」と水分を十分にとらずにいると脱水になり、こむら返りが起こりやすくなります。
◆◇こむら返りが起こりやすい時間帯は?≫夜1)◆◇
就寝中は、交感神経と副交感神経のバランスの変化や、末梢の血液循環が悪くなるために起こりやすくなると考えられています。布団の重みなどで足首がピンと伸びたままだとこむら返りが起こりやすいので、軽い掛け布団にするなどの工夫をしましょう。
◆◇こむら返りの予防法1)◆◇
●運動
毎日の散歩やウォーキングで運動不足を解消します。自分の体力に合わせ、疲れが残らない程度に行うとよいです。
●ストレッチ、マッサージ
こりやすい部位は1回10~30秒のストレッチで数回よく伸ばし、これを1日2~4度行います。就寝前はマッサージでさすったり揉んだりするとよいです。
●水分やミネラルをとる
・まとめて水分を摂っても不要分は排出されてしまいます。
こまめに水分補給をするようにしましょう。
・コーヒーや紅茶など利尿作用のあるカフェインを含まない飲み物がおすすめです。
・お酒(ビール)の取り過ぎも脱水症の原因になります。
・就寝時の脱水予防として枕元に水を用意しておくのもおすすめです。
~日本人に不足しがちなミネラル~
・カリウム・・・・果物、緑黄色野菜、イモ類
・カルシウム・・・・小魚、乳製品、大豆製品
・鉄・・・・レバー、干しひじき(鉄釜)、のり、あさり
・亜鉛・・・・牡蠣、肉類
・マグネシウム・・・・ナッツ類、大豆、海藻類 など
◆◇こむら返りに使用される代用的な漢方薬≫芍薬甘草湯1,3)◆◇
筋肉の緊張を緩める働きがあります。即効性があり、症状が起こったときに服用します。痛みが治まったら薬の服用を中止するようにして下さい。※甘草の分量が多いため、長く服用する際は副作用 の発現に注意が必要です。
こむら返りは、誰にでも生じますが、薬の副作用や何らかの病気が原因の場合があります。気になる方は、医療機関に相談するようにして下さい。
(参考)
1)NHKきょうの健康 2023年7月号もう怖くない!こむら返り
2)ふくらはぎなどの“筋肉のつり” その原因と対処法 NHKジャーナルhttps://www.nhk.or.jp/radio/magazine/article/nhkjournal/k8vNRaUWiJ.html
3)東洋医学おさらい帳 編著:根本 幸夫 出版社:じほう