すぐできる!糖尿病対策
糖尿病は医学の進歩によって多くの患者はその症状をコントロールできるようになりました。しかし、薬だけでこの疾患を治療することはできません。生活習慣の改善が1番の対策です。すぐできる糖尿病対策、始めませんか?
◆◇糖尿病の種類
糖尿病には、血糖値を下げるインスリンの分泌が少なくて血糖値が上がる1型糖尿とインスリンは分泌されているけれど、インスリンの効きが悪くなり、血糖値がコントロールできない2型糖尿病の2種類が存在します。糖尿病の9割が2型糖尿病と言われています。
◆◇インスリンの効きが悪くなる理由
糖分は生きていくために必要なエネルギー源です。それ故、美味しく感じるように体ができています。しかし、過剰に摂取した糖分は脂肪として蓄えられ、肥満の原因になります。
インスリンの効きが悪くなる原因の多くは肥満です。肥満になると肥大化した脂肪組織から出る悪玉物質がインスリンの効きを邪魔してしまいます。一方で、正常な脂肪細胞からはアディポネクチンと呼ばれる善玉物質が分泌され、この善玉物質はインスリンの感受性を高め糖尿病の発症を抑えます。1)
よって、2型糖尿病を治療するためには生活習慣を改善し、肥満を解消する必要があります。 日本人は欧米人と比較してインスリン分泌能力が低いことが知られているため、肥満に至らない人でも注意が必要です。
◆◇糖尿病を放置すると
血糖値が高いままの生活を続けると、血管がもろくなり、ボロボロになってしまいます。そして、全身にネットワークを結んでいる血管と神経が侵され、適正な栄養の供給が途絶えて全身の臓器にさまざまな障害が起こってきます。
また血糖値が高い状態が続くと免疫機能にも影響を及ぼします。高血糖状態が続くと白血球と呼ばれる免疫細胞の機能が低下したり、血管がボロボロになることで感染部位に免疫細胞が到達しにくくなることが報告されています。2)
血糖値が高くても多くの方は無症状ですが、放置すると危険です。放置せず、できる事から取り組むことが大切です。
◆◇すぐできる腸尿病対策
糖尿病対策の基本は、食事や運動などの生活習慣の改善です。糖尿病の対策は長く続けられる事が何よりも大切です。肥満を伴う糖尿病の減量目標は1ヶ月で0.5㎏程度が目安です。きちんと続けていけば1年で6㎏の減量が期待できます。まず以下の3つの習慣から始めてみましょう。3)
①体重計に毎日乗る
肥満は糖尿病の発症や悪化に繋がるため、体重をきちんと管理する事が欠かせません。その1歩が毎日、体重計で体重を量る事です。
毎日測定することで、どのような生活習慣をすると体重が増えたり、減ったりするのかが分かってきます。
②適度な運動をする
健常人では糖の7割以上が骨格筋で利用されています。一方、糖尿病患者では骨格筋での糖の利用率が5割程度に低下していることが報告されています。4)
運動をして筋肉を動かすと、筋肉が糖を取り込むため血糖値が下がります。 また運動を長期間続けていると、インスリンの働きが改善されます。手軽にできるおススメの運動は歩くことです。
連続でなく、こま切れでも良いので、1日に20分~60分ほど、週に3~5日歩くようにしましょう。息が弾む程度の速さで歩くとより効果的です。
③食物繊維を積極的に摂取する
食物繊維は、腸にたどり着くと腸壁を覆い、その後にやってきた糖質や脂質の吸収を抑え、食後の血糖値の上昇を緩やかにしてくれます。 よってご飯やパンなどの主食を食べる前に食物繊維を摂取すると効果的です。
実際に食物繊維摂取量の増加が血糖値の変動を改善するか調べた試験ではエネルギー量と栄養バランスが同じでも食物繊維を多く摂取したグループの方が1日を通して血糖変動が明らかに低下することが報告されています。5)
◆◇薬局で健康相談
薬局は薬をもらうところだと思っていませんか?薬局では薬の相談はもちろん、薬以外の健康に関する相談もできます。2型糖尿病は症状が軽症のうちに生活習慣を改善することでインスリンや内服薬が不要となることも少なくありません。薬局で生活習慣の相談をしてみませんか?
参考)
1) 日本内科学会誌 2006;95:35-40
2)糖尿病ネットワーク
https://dm-net.co.jp/seminar/25/
3)きょうの健康 2019.8
4)DeFronzo RA,Diabetes,1988;37(6):667-87.
5)N Engl.J Med.,342:1392-1398,2000
◆◇お近くの薬局・薬店でご相談下さい◆◇
栄養のお話や、運動の際の注意点などは、お近くの薬局・薬店でもご相談ください。健康セミナーなどが開催されることもありますので、積極的に参加して、健康投資を続けましょう!