ストレスとうまくつき合う
by Naomi Saito (湧永製薬 学術・営業薬制部)
厚生労働省平成28年度国民生活基礎調査によると、12歳以上の日本人の約半数が、「悩みやストレスがある」と回答しています。ストレスとは簡単にいうと、「心身に過剰な負荷がかかる」ということです。ストレスがたまったときの自分の状態を知り、早く気づいて、積極的に対応することが大切です。
ストレスに関する最新の研究から以下の報告をご紹介します。
●○ストレスとうまくつき合う方法○●
❤ストレスのよい面を見る
ストレスの原因は、仕事、子育て、人間関係、介護、健康等が挙げられます。これらのストレスは人生の意義につながるものもあります。ストレスを乗り越えることによって自分を強くできると思っている人は、より健康的で、幸せで、仕事でも良い結果を出すことができるそうです。
❤ストレスから逃げない
飲酒、テレビ鑑賞、ゲーム等でストレスの感覚から逃げる人は、不安や気分の落ち込みを感じやすく、将来うつになる傾向があるそうです。ストレスをいったん受け入れ、自分の今の状態・経験をまず文章に書きだしてみましょう。感じたこと、起きたことを文字や言葉にするという行為には癒しの効果があることがわかっており、これからどうしたらよいのかを考えるきっかけになります。
❤セルフケアをする
運動、家族・友達・ペットと過ごす、マッサージ、ヨガ、お祈り、ボランティア活動、創造的な趣味などの自分自身のケアをすると不安や憂鬱を和らげることができるそうです。
●○やってはいけないこと○●
❤ストレスは取り除くことができず、健康に悪いと思うこと
ストレスは取り除くことができず、健康に悪いと思う人は、気分が落ち込む傾向が強く、腰痛や頭痛のようなストレスからくる健康問題を、他の人より多く抱えてしまうそうです。
(参照:スタンフォードの心理学講義 人生がうまくいくシンプルなルール)
●○ストレスによる食事量の変化○●
精神的ストレスが加わると、ストレスの種類や強さにより、食事量は増えたり減ったりします。大きく分けると、急性期と慢性期のストレス反応があります。一般的に急性期では食欲が低下し、慢性期では食欲が増加することがわかっています。
●○ストレス時に必要な栄養素○●
ストレス時には、下記の栄養素を積極的に摂りましょう。
❤糖
脳と神経系は糖質のみをエネルギー源とします。
❤たんぱく質
ストレスにより、ノルアドレナリンやコルチゾールが分泌され続けると、体内のたんぱく質がぶどう糖に分解され、免疫力の低下を招きます。
❤ビタミンB1
過労等により神経の興奮が高まると、ビタミンB1の消費量が増加します。また、ストレス対処行動としての甘いものの過剰摂取もビタミンB1を消費します。
❤ビタミンB6
神経伝達物質合成に必要であり、脳の働きに大きな影響を与えます。
❤ビタミンC
ビタミンCは副腎に多く存在し、ノルアドレナリン、コルチゾールといった副腎から分泌されるホルモンの合成に関わっています。強いストレスにさらされると、ストレスと闘う臓器である副腎のビタミンCは枯渇してしまいます。
❤鉄
鉄が欠乏すると、抗体の産生が低下し、免疫力の低下を招きます。
❤カルシウム
カルシウムには脳神経細胞の興奮を抑制する働きがあり、欠乏すると興奮状態が起きます。精神的・肉体的なストレスをかけると、腸管でのカルシウムの吸収率が減少し、ストレス時に分泌されるコルチゾールやノルアドレナリンはカルシウムの尿中排泄を促進します。
●○ストレスセルフチェックをしてみましょう○●
こころにストレスがたまっていませんか。
以下の質問に、「いいえ」:0点、「ときどき」:1点、「しばしば」:2点、「常に」:3点と答えて採点し、自分の心の健康状態をセルフチェックしてみましょう。 201802stres1.png
10点以下:抑うつはなし 11~15点:境界領域 16点以上:抑うつ傾向あり
あなたの診断結果はいかがでしたか。
普段から自分の心の健康状態を把握しておきましょう。
(参照)
・きょうの健康2015.4
・日本栄養士会雑誌Vol. 53 No. 4, 2010ストレス負荷時の食事摂取量の変化と必要な栄養素
・淡路市こころといのちのページ[東邦大式SRQ-D(Self-Rating Questionnaire For Depression)]