新興感染症
細菌やウイルスなどの病原体によって起こる疾患を感染症と呼び、風邪もその一つです。これらの病原体は増殖のために特定の動植物(宿主)に住みつく(感染)必要があります。感染症のうち、以前は知られていなかった感染症を「新興感染症」と呼びます。
◆◇新興感染症◆◇
人類の歴史は古代より感染症との闘いでした。この闘いに対しては、近代以降、公衆衛生の向上、抗菌薬やワクチンの開発によって患者が激減したことから、1967年には “感染症は終わった”と米国医務長官が発言するほどでした。しかしながら、1970年以降、野生動物由来と考えられる新しい感染症(新興感染症)が次々に出現しています。現代は、人口の過密化と高速大量輸送を背景として、一度病原体の都市への侵入を許せば、密集した人々の中で感染伝播を繰り返し、さらにそれが拡散して国境を越えた世界規模の流行(パンデミック)が起こる危険性が高まっています。
◆◇主な新興感染症◆◇
◆◇新型コロナウイルスの危険性◆◇
2002年、中国広東省を起点にヒトからヒトへ感染する未知の病原体が現れ、短期間に世界中に広がりました。 この病原体に感染すると、38℃以上の高熱に襲われ、咳や呼吸困 難などの症状を呈する肺炎を発症しました。これはSARSという名で報告され、21世紀最初の新興感染症による流行とされています。類似の感染症としては、2015年に韓国でMERSと呼ばれた新興感染症が大流行を起こしています。これらの原因であるコロナウイルスは、実は依然から知られていました。様々な動物にその動物固有のコロナウイルスが存在し、気管支炎、下痢、脳炎などの多彩な症状を起こしながら、その動物集団の中で維持されています。これまでに14種の動物およびヒトから、それぞれに固有のコロナウイルスが分離・発見されています。
ヒトのコロナウイルスは、普通の「風邪」の10~15%を占める身近なウイルスであり、患者が重症化することは少なく、SARSの流行以前は公衆衛生上の大きな問題になるとは考えられていませんでした。しかし、SARSにおいては、ヒトと野生動物が濃厚に接触する環境があり、そこでヒトに感染しやすいように姿を変えていた野生動物固有のコロナウイルスがヒトに感染してしまったと考えられています。2020年2月現在、中国湖北省武漢市を起点に発生している感染症も新型コロナウイルスによる新興感染症とされています。このウイルスについてはまだ不明な点が多く、今後の研究が待たれるところです。コロナウイルスによる感染症は現在のところ有効な治療薬は見つかっておらず、自身の免疫力が重要です。
◆◇感染症予防のための基本◆◇
①食事
免疫細胞を作り出すために十分な栄養が必要です。バランスの良い食事を心がけましょう。また、タバコやアルコールは免疫系への悪影響が知られています。
②運動
運動時にNK細胞の活性が上昇することが分かっています。また、血液の循環を良くすることも免疫力の向上につながります。
③睡眠
しっかり睡眠を取ることで副交感神経の機能を高め、免疫細胞の活性を上昇させます。
④石鹸と流水での手洗い
手洗いは最も手軽にできる感染予防です。ポイントは洗い残しがないよう丁寧に洗うことです。手洗いが困難な環境ではアルコール系消毒剤も活用しましょう。
参考) 1)ウイルス・細菌の図鑑 技術評論社
2)国立感染症研究所HP
3)厚生労働省HP(新型コロナウイルス感染症について)
4)知っておきたい感染症-21世紀パンデミックに備える ちくま新書
5)知っておくべき感染症33 西東社
6)ウイルス感染症 Newton別冊
7)猛威をふるう「ウイルス・感染症」にどう立ち向かうのか ミネルヴァ書房
◆◇お近くの薬局・薬店でご相談下さい◆◇
栄養のお話や、運動の際の注意点などは、お近くの薬局・薬店でもご相談ください。健康セミナーなどが開催されることもありますので、積極的に参加して、健康投資を続けましょう!