脂質を正しく理解しよう!
脂質、油、脂。この文字を見ると、何となく体に悪いものと思っていませんか。脂質は我々の体の構成成分であり、日々の活動のエネルギー源でもあります。きちんと理解して正しく使いましょう。
◆◇あぶらについてのクイズ◆◇
最初にいくつかクイズです。皆さん正解できますか?
・オリーブ油や亜麻仁油などが体に良いとされているのは、食べ過ぎても太らないから。
・同じ重量の炭水化物と脂質を食べた場合、より体重が増え易いのは炭水化物である。
・お米を食べすぎたりお酒を飲み過ぎると、体の中で脂が増える。
・LDLコレステロールとHDLコレステロールは、種類の違う脂である。
・コレステロールの摂り過ぎを防ぐためには、健康な方でも卵を食べない方が良い。
◆◇脂質の種類◆◇
脂質には大きく分けて3つの種類があります。いわゆる油は『脂肪酸』と呼ばれ、常温で液体で、主に植物由来のものを「油」、常温では固体で、主に動物由来のものを「脂(脂肪)」と言います。
2つめの油は『中性脂肪』で、脂肪酸や炭水化物が体の中で蓄えやすい形になったもの。トリグリセリドとも言い、体の脂肪組織には中性脂肪が蓄えられています。
もう一つの油は『コレステロール』で、厳密には油ではありませんが、栄養素としては油の一つに分類され、全身の細胞を作る材料として使われます。
脂肪酸、中性脂肪、コレステロールを総称して脂質と呼び、健康状態を評価する目安として、健康診断では中性脂肪とコレステロールの血液中の量が計られています。
◆◇脂肪酸◆◇
脂肪酸には多くの種類がありますが、飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸の2つのグループに大きく分けることができます。不飽和脂肪酸は健康効果が高いとされ、オリーブオイルやアボカド、青魚やえごま油などに多く含まれています。
飽和脂肪酸は脂肪や乳製品、パーム(ヤシ)油に多く含まれ、不飽和脂肪酸に比べると体に蓄積されやすく、悪玉コレステロール(LDLコレステロール)を増加させ、結果的に心血管疾患のリスクを高める要因となります。飽和脂肪酸は体内で合成できるので不足することはまずありません。
とにかく油を減らす、ではなく、飽和脂肪酸の摂取量を減らし、不飽和脂肪酸は意識して食べることを心がけましょう。尚、どの脂肪酸であっても食べ過ぎると太ってしまうのは共通していますのでご注意ください。
◆◇中性脂肪◆◇
炭水化物と脂肪酸は、体内でエネルギー源として利用されます。食事で摂取するエネルギー量が普段の生活で使うエネルギー量を上回ると、余剰分は中性脂肪に変換され、皮下や内臓周囲の脂肪組織に蓄えられます。これは、食料が乏しい環境でも生存するための、生物の体の知恵です。エネルギー源としてみた場合、脂質の方が炭水化物よりも効率が良く、1gあたり炭水化物は4キロカロリーなのに対して、脂質は9キロカロリーあります。つまり、同じ重さでも脂質の方が2倍以上カロリーが高く、体重が増えやすいということになります。
また、アルコールを過剰に摂取すると肝臓での中性脂肪の合成が促進され、分解が遅くなるため、血液中の中性脂肪が上昇することになります。このことはメタボなど生活習慣病のリスクを上げることにつながります。日本は比較的脂質摂取量が少ない食文化ですが、普段から運動を習慣化してエネルギーを使う、エネルギーとして使いきれないほどには食べない、が健康管理の大原則です。
◆◇コレステロール◆◇
コレステロールは、我々の体の細胞やホルモンの材料となる成分です。体内で必要量の7~8割が作られるほか、食事からも摂取されます。悪玉(LDL)コレステロールも善玉(HDL)コレステロールも、コレステロールとしては同じものすがで、状態が異なるので区別されています。ですので、「食べすぎるとよくないコレステロール」といったものはありません。
コレステロールを多く含む食品は、卵類、魚介類、肉類などの動物性食品であり、卵にすると1日1個が摂取の目安量となります。コレステロールを下げるお薬を服用されている方はお医者さんにご相談ください。
あぶらのこと、お判り頂けたでしょうか。最初のクイズの答えは順に×,×,○,×,×となります。食事のこと、運動のことで気にかかることがあれば、相談できるくすり屋さんで聞いてみましょう
◆◇お近くの薬局・薬店でご相談下さい◆◇
栄養のお話や、運動の際の注意点などは、お近くの薬局・薬店でもご相談ください。健康セミナーなどが開催されることもありますので、積極的に参加して、健康投資を続けましょう!