頭痛の種類
我々の身近な痛みに、頭痛があります。頭痛とは、頭部の一部あるいは全体の痛みの総称です。誰しも経験するありふれた症状にも関わらず、原因が完全には解明されていないものもあり、現在も研究が進められています。
◆◇頭痛の分類1)2)◆◇
日常生活で頭痛に悩まされている人は多く、日本では患者数がおよそ4000万人もいると考えられています。その原因は様々で、自然におさまる軽症のものから、中には命にかかわる病気が隠れていることもあります。頭痛は原因や性質に基づいて分類され、一次性頭痛と二次性頭痛に大別されます。一次性頭痛とは、頭痛そのものが病気である頭痛です。頭部の画像検査や、血液検査では異常は認められないという特徴があります。一次性頭痛は繰り返し起こることが多いため、慢性頭痛とも呼ばれます。二次性頭痛は、他の疾患や問題によって引き起こされる頭痛です。以下に、一次性および二次性頭痛の特徴をまとめました。
◆◇一次性頭痛3)4)◆◇
一次性頭痛は頭痛の8~9割を占めており、代表的なものとして、ズキンズキンと痛む片頭痛、頭が締め付けられるように痛む緊張型頭痛があり、その他として目の奥や側頭部に激痛を感じる群発頭痛、薬剤の使いすぎが原因で起こる薬剤性頭痛があります。この中で生涯を通して最も多くの人が経験する頭痛が緊張型頭痛です。
緊張型頭痛は運動不足やストレスの素因に加えて、同じ姿勢を続ける職業の人に多く認められ、一般的に「肩こり」を持つ頭痛とも言われます。緊張型頭痛に次いで患者数が多い一次性頭痛が片頭痛です。片頭痛は、元は頭の片側が痛むことに由来していますが、実際には4割近くの患者が両側性の痛みを経験していることが分かっており、名称から誤解されやすい頭痛です。
片頭痛について、女性が男性よりも患者数が多いこと、自律神経の影響を受け、寝不足や空腹などが引き金になりやすいことがわかっています。緊張型頭痛および片頭痛は共通の誘発因子があるために、両方の頭痛が合併して生じるケースも多く、頭痛の自己判断が難しい原因ともなっています。
◆◇二次性頭痛5)◆◇
二次性頭痛は、頭痛全体の1割程度であり、初めにご紹介した通り、他の疾患や原因によって引き起こされる頭痛です。頭痛の原因が、一過性の感染症(例:風邪)であれば大きな問題にはなりませんが、二次性頭痛の中には生命の危険を呈するものがあり、代表的なものとして、くも膜下出血、脳・髄膜炎、脳腫瘍、頭蓋内圧異常などがあります。
これらの重篤な頭痛の兆候として、人生で初めてと言えるほど強い頭痛、急に頭が殴られたように突然起こる急性頭痛、数日から数週間のスパンで時間経過とともに増悪する頭痛、手足の麻痺やしびれを伴う頭痛、意識障害を伴う頭痛などがあります。該当する場合は速やかに医療機関を受診しましょう。
◆◇大事な事6)◆◇
二次性頭痛の項で紹介した頭痛の症候を見過ごすことは少ないと思われますが、緊張型頭痛や片頭痛はありふれた症状であるために軽視されがちで、長年に渡って放置されることが多い疾患です。しかし、頭痛が慢性化すると病態が複雑化、難治化することが少なくないため、初期の段階で対処することが大切です。
市販の鎮痛薬などを活用しつつ、頭痛が繰り返し発症する、あるいは治らないようであれば専門の医療機関を受診しましょう。なお、頭痛の種類にもよりますが、生活習慣の改善によって症状の軽減や再発防止が期待できます。治療後の予防・養生ではお近くの薬局・薬店を積極的に活用しましょう。
参考) 1) 国際頭痛分類,日本頭痛学会HP 2) 頭痛「最近の進捗」,日本内科学雑誌,111;9,1862-1868 3) いまさら聞けない一次性頭痛,日本頭痛学会誌,49:189-194,2022 4) 頭痛,心身医,56;8:833-838,2016 5) 疾病救急での臨床推論,日本内科学雑誌,108;12:2454-2459 6) 頭痛と予防医療,神経治療,40;2:92-98:2023
◆◇お近くの薬局・薬店でご相談下さい◆◇
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