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放っておくのはよくない目の疲れ

疲れ目の大きな原因は乾燥と目の使い過ぎ

 人間の体には、胃や腸などさまざまな臓器がありますが、眼球もそのひとつです。眼球は光を取り込む必要があるため、体の中で唯一、皮膚に守られていない臓器です。空気の乾燥など外気の影響を受けやすく、さらに加齢により血流が悪化すると、慢性的に潤いが奪われていきます。乾燥を放っておくとドライアイを引き起こし、疲れ目の大きな要因となります。
 また、目の血流の悪さは目の疲労にもつながります。血流が悪くなると目を潤す働きが低下。乾燥が悪化することで、見えづらさを感じ、眼の筋肉を酷使して見ようとします。これが蓄積されると、眼の疲労を感じるようになります。

睡眠の質を高めることで目の疲労を軽減させる

 また、目の疲れは睡眠の質とも関係しています。人間はスマホのブルーライトなど人工的な光を見ると、気持ちが高ぶって自律神経が優位になり、興奮状態になります。光は朝や昼に浴びる分には生活リズムを整える働きがありいいのですが、夜に浴びると脳は朝だと勘違いします。結果的に眠りが浅くなり、脳や目にも負担がかかり疲労します。
 日中、パソコンやスマホから意識的に目を離すことも重要ですが、夜は寝る30分前にはスマホを手放すなど、日常的に目にやさしい生活を心がけましょう。

目の生活習慣病 加齢性黄斑変性

 シニアの方に多い目の病気は、白内障、緑内障などがありますが、中でも目の生活習慣病と呼ばれているのが、加齢性黄斑変性です。肉中心の食生活や喫煙、ストレス過多などの要因が深く関わっていると考えられています。
 加齢性黄斑変性とは、視野の中心がゆがんで見える、または視野の中心が暗く見えるなど、一部が見えなくなってしまう病気です。これは網膜の中心部分にあたる黄斑部に障害が起こるためです。国内でも患者数が急増している病気で、欧米では主な失明の原因になっています。日本で患者数が増えているのは、脂っこい食生活が大きく関係していると考えられています。

目の病気を早めに発見する 見え方の定点観測

 目の病気を早めに発見するための方法としておすすめなのが、見え方の定点観測をすること。白内障や緑内障、また加齢性黄斑変性などの目の病気による視力の低下はゆっくり進みます。その変化に早めに気づくためにも、壁にかけてあるカレンダーや窓から見える風景など、毎日同じ場所から同じものを片目ずつ見るようにすると、見づらさの差がわかりやすくなります。
 日頃から、見え方以外にも少しでも異変を感じることがあれば、手遅れになる前に近くの眼科を受診してください。今はさまざまな治療法が確立しています。目の病気も早期発見が大切です。睡眠や食事、日常の目のケアを見直すだけでなく、時には目の定期健診を受け、体と同様に目の健康も意識するよう心がけてください。

目に良いポイントを生活に取り入れよう!

◎ブルーベリーよりも「ほうれん草」

 ブルーベリーに含まれる抗酸化物質「アントシアニン」は目に良いとされていますが、実はアントシアニンは全身をめぐり、目に届くのはごく一部です。一方、目に集中的に届く抗酸化物質もあり、それが「ルテイン」です。ほうれん草に多く含まれていて、老眼や白内障に効果的と考えられています。その他、アスタキサンチン(鮭やカニなど)、DHA・EPA(サンマやイワシなど)はドライアイに効果的といわれています。

◎血流がアップする「ホット・アイ」

 水で濡らしたタオルをしっかり絞って、電子レンジで 30~ 40秒(600W目安)加熱した蒸しタオルで目を温める方法がおすすめ。温めることで血流が良くなり、筋肉の緊張がほぐれ、リラックスできます。ただし、加熱直後のタオルは火傷に注意。手で触れられる温度まで冷ましましょう。

◎「遠近ストレッチ」で目の筋肉をほぐす

 パソコンやスマホなど、近くを見つめることが多いと毛様体筋は縮んだままに。遠近ストレッチで、硬くなった毛様体筋をやさしくほぐしましょう。「遠近ストレッチ」を行えばピントに変化がつき、目のストレッチにつながります。
1片手を前に出し、30~ 40センチ離れて、指を立てます。
2指先から一直線で見える位置、3メートルくらい先に目標物を決めます。
3指先と目標物とを1秒ずつ交互にしっかり見ます。10回程度繰り返しましょう。

◎目の疲れに効く!「ツボ押し」

 眼精疲労や頭痛を感じたとき、近くを見る作業が続いたときは目が疲れている証拠。こういう場合は、眼精疲労に効くツボをやさしく押して、目を休ませましょう。左右の眉毛の内側部分にある「攅竹(さんちく)」、目の下の「承泣(しょうきゅう)」などがツボです。

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今回お話を伺ったのは

平松 類 先生

医学博士・眼科専門医 二本松眼科病院(江戸川区)副院長

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