腸内環境を整えよう
私たちの腸には、およそ1000種類のさまざまな細菌が約100兆個も生息しています。それらの細菌の集団のことを腸内細菌叢(さいきんそう)といい、腸内でお花畑のように広がっていることから、「腸内フローラ」とも呼ばれています。
腸内細菌の中には、体に良い影響を及ぼす「善玉菌」、毒素や腐敗産物を出す「悪玉菌」、善玉菌にも悪玉菌にも属さない「日和見菌」がいます。最近の研究では、悪玉菌や日和見菌からも人体に有効な菌が発見されるようになったため、腸内フローラは、賑やかでバランスが良い(菌の総数が多く、種類も多い)方が理想とされています。
腸には体内の免疫細胞の6~7割が存在すると考えられ、私たちの体を病原菌やウイルスから守る免疫システムが備わっています。そのため、腸内環境が崩れると、「肌荒れ」「便通の悪化」など軽微な症状から「アレルギー」「精神疾患」「免疫疾患」「がん」などの重大な疾病を引き起こすことも。腸内環境を整えることが、元気で長生きするための秘訣につながります。
「腸活」の基本は食事から
腸は第2の脳といわれ、腸と脳は密接な関わりがあると考えられていて、腸の状態が精神状態にも影響することがわかっています。そのため、腸を元気にする活動「腸活」を実践することで心身ともに活力がわき、何事にも前向きな気持ちになり、毎日を楽しく過ごすことができます。
腸活には、適度な運動を取り入れたり、しっかり睡眠をとることも重要ですが、すぐに実践できるのが、食生活の見直しです。何をどのようにして食べたらいいか、簡単に今すぐできるおすすめの”食べる腸活”を紹介します。
「腸活」に効果的な食材とは
大きく3つあります。1つめは発酵食品です。発酵食品は、味噌などの日本の伝統発酵調味料をはじめ、ヨーグルトや納豆などに含まれていて、善玉菌を腸に届け、育てる働きがあります。この作用により腸の免疫細胞が活性化されるため、腸内環境が整い、免疫力が高まります。 2つめはオリゴ糖を含む食品です。タマネギ、ゴボウ、アスパラガス、ニンニク、大豆などに含まれています。オリゴ糖は善玉菌のエサとなり、増やす働きがあります。オリゴ糖が豊富な「てんさい糖」は、体を温める働きがあるので、普段使っている砂糖をてんさい糖に替えるのもおすすめです。
3つめは食物繊維です。食物繊維は水に溶ける「水溶性」と水に溶けない「不溶性」の2種類があり、特に善玉菌のエサとなり、便を柔らかくするのが水溶性の食物繊維です。代表的なものは、柚子やキンカンなどの柑橘類、山芋やオクラ、モロヘイヤ、ひじきやこんぶ、わかめなどの海藻類です。不溶性の食物繊維はジャガイモ、ニンジン、インゲンなどで、これらは水に溶けないため、腸で膨らみ、内容物を押し出す働きがあります。ただし、食の細い人が摂りすぎると、お腹が張るので注意が必要です。
最近では「腸活」を意識した食品がスーパーやコンビニでも手軽に購入できますので、1日の食事の中でバランスよく摂ることを心がけましょう。
日常生活で今すぐにはじめられる「腸活」
「腸活」では、朝食が大切なので、絶対に抜かないこと。排泄は朝食がきっかけで起こります。また、朝は体が栄養を欲しています。そこで腸に何を届けるかが重要。野菜たっぷりの味噌汁からスタートすることで、腸に元気スイッチが入り、1日を活動的に過ごすことができます。
水分補給も重要です。水を飲むと腸の働きが活発になるので、1日に1~2ℓ程度を飲むように心がけましょう。コップ1杯150 cc として、朝のめざめに1杯、食事と食間に1杯ずつ、寝る前に1杯飲む習慣をつけると良いでしょう。冷たい水は腸を刺激するので、できれば常温か白湯がおすすめです。不要な水分は排出されるので、デトックス効果も期待できますよ。
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