インフルエンザの予防接種や薬に関する患者さんの疑問にお答えします
- インフルエンザワクチンの接種時期を教えてください。
日本では、例年12月から4月にかけてインフルエンザが流行します。ピークは1月から3月上旬のため、12月中旬までにはワクチン接種を終えておくのが良いと考えられます。
ワクチンは、そのシーズンに流行が予想されるウイルスのタイプに合わせて作られます。そのため、毎年この時期にワクチン接種することが、インフルエンザ対策として最も重要です。
- ワクチンの効果について教えてください。
インフルエンザのワクチンには、2つの重要な効果があります。1つは、「感染・発症を防ぐ」効果です。残念ながら、感染・発症を100%完全に予防できるものではありませんが、平均して60~70%くらいの感染予防効果があります。これは、100人中20人が発症する事態を、100人中6~8人程度の発症にまで抑える効果です。
もう1つは「重症化を防ぐ」効果です。重症化とは、高熱が出たり関節痛が現れたりすることではなく、死亡・入院といった生命に関わる事態のことを指します。特に高齢者では死亡リスクを80%以上も軽減できるというデータもあります。
感染・発症を防ぐだけでなく、生命に関わるような事態を防ぐためにも、ワクチン接種は極めて重要です。
- インフルエンザの治療薬にはどのようなものがありますか。
一般的な治療薬には、飲み薬としてオセルタミビル(タミフルR)とバロキサビル (ゾフルーザR)、吸入薬としてザナミビル(リレンザR)とラニナミビル(イナビルR)、点滴薬としてペラミビル(ラピアクタR)があります。基本的に、症状のある期間を24時間ほど短縮するという効き目に大きな違いはないため、咳が出ている人には飲み薬、吐き気のある人には吸入薬、といった選び方をするのが一般的です。
これらの薬を途中で止めてしまうと、薬が効きにくい耐性ウイルスを生む原因になります。必ず指示された用法・用量通りに使用し、最後まで飲みきるようにしてください。
今回お答えいただくのは
児島 悠史 先生
薬剤師 / 薬学修士 / 日本薬剤師会JPALS CLレベル6 / Fizz-DI代表