高齢者の薬の飲み方について注意点をまとめました
- 高齢者は、薬の副作用が出やすい?
高齢になると、若い頃には問題にならなかったような薬のトラブルが現れるようになります。たとえば、胃や腸の動きが衰えて薬の吸収が悪くなったり、肝臓での薬の分解が遅くなったり、腎臓からの薬の排泄に時間がかかるようになったりして、薬が効き過ぎたり、あるいは効きにくくなったりということが起こります。「若い頃に使って問題なかった薬」であっても、思わぬ副作用が出る恐れがありますので、必ず今の状況に合わせた薬を選ぶようにしてください。
- 高齢者が薬を飲む上で気をつけたいことは?
高齢になるといろいろな疾患を抱えて、複数の医療機関に通うことになる人も珍しくありません。このとき、個々の医療機関では、かかった症状でベストと考えられる薬が処方されますが、それがいくつも集まると、リスクの高い薬の組み合わせになる可能性があります。
こういった場合、得られる効果はそのままに、飲み合わせのリスクが小さくなるよう、薬局で薬剤師がその薬の組み合わせの相談にのることができます。ぜひ、「お薬手帳」を活用して自分が使っている薬の情報を薬剤師と共有してください。
- 飲み忘れ・飲み間違いを防ぐには?
どうしても飲み忘れや飲み間違いが起きてしまう場合は、1回分の薬を1つの袋にまとめる「一包化」を薬局で行うことができます。一包化をすると、たとえば「朝食後」の薬が全て1つの袋にまとめられているため、飲み忘れや飲み間違いのリスクが低くなります。こうした一包化をするほどでない場合には、薬を包装するPTPシートにマジックで日付を書いたり、カレンダーに〇をつけていったり、といった方法を考えます。
なお、ハサミで薬を1錠ずつに切り分けることは、PTPシートごと飲み込んでしまう原因になるため、やめた方がいいです(誤飲事故がたくさん起きています)。
今回お答えいただくのは
児島 悠史 先生
薬剤師 / 薬学修士 / 日本薬剤師会JPALS CLレベル6 / Fizz-DI代表