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Talk my self-prevention トーク・マイ・セルフプリベンション

セルフプリベンションとは、自己予防という意味。自らの手で、自分のできる範囲で、身体によいことを行うことです。このコーナーでは、著名人が実践している、そんな転ばぬ先の身近な健康法をご紹介いたします。

杉浦 佳子

一度は失った希望を再び取り戻したい

 2021年東京パラリンピックの2種目で金メダルを獲得した、日本が誇るパラアスリート杉浦佳子さん。杉浦さんはもともと、薬剤師の仕事をこなす傍ら子育てに奮闘し、趣味でトライアスロンやロードレースを楽しむ日々を送っていました。しかし、2016年に出場したロードレース大会中に転倒。記憶力や言語力が低下する高次脳機能障害と、右半身まひを負いました。
「事故直後の記憶はほとんどないのですが、主治医の先生から『もう薬剤師には戻れないし、自転車にも乗れない』と告げられたときの衝撃は覚えています。失意のあまり、私は先生に『そのまま死なせてくれればよかった』と心無い言葉を言ってしまったそうです。当時の私は記憶が 10 分も続かなかったので、先生には毎日『はじめまして』と挨拶し、文章も読めないような状態でした」
 そのようなつらい日々の中で、障害を負ってもなお仕事に復帰した人の話を聞き、杉浦さんの気持ちは前向きになっていったといいます。
「私も薬剤師の仕事に戻ろうとリハビリに励みました。自転車仲間や職場の同僚たちにも支えられ、徐々に回復。再び自転車に乗り、生きる希望を取り戻したいと考えるようになりました」
 その後、パラアスリートとして自転車競技に挑戦することを決意。2017年、 46 歳のときにUCIパラサイクリングロード世界選手権に出場し、コースの走破時間を競うタイムトライアルで優勝。翌年の世界選手権でも優勝し、2年連続で栄冠に輝きました。
「運が良かったのもあります。上り坂が多いコースは体が軽い私にとって有利で、最後まで全力で走り切ることができました。転倒事故を経験しても、レースに出ることへの恐怖心はありません。悪いことは全部忘れましたから(笑)」

東京パラリンピックで2個の金メダルを獲得

 杉浦さんの名前と実力を国内外に強く印象づけたのが、2021年東京パラリンピック。女子個人ロードタイムトライアルと、女子個人ロードレースで金メダルを勝ち取りました。
「私の金メダル獲得を喜んでくれる人がたくさんいたことが、とてもうれしかったです。『生きていてよかった』と心から思い、かつてひどいことを言ってしまった主治医の先生に謝りに行きました。『そんなことはもういいから、金メダルを見せて!』と祝福してくださった先生には、今でも感謝しています」
 東京パラリンピックへの出場をきっかけに、自転車競技の魅力をもっと広めていきたいという思いも高まったと語ります。
「出場後、メディア出演や講演のご依頼もいただくようになりました。ただ、パラリンピックは取り上げてもらえる一方、世界選手権の注目度は高くありません。自転車は障害の有無に関係なく、誰もが楽しめるスポーツ。健康増進はもちろん、仲間をつくって取り組めば、人生をより豊かにしてくれることを多くの人に伝えていきたいです」
 東京パラリンピックをはじめ、数々の大会で輝かしい実績を出す杉浦さん。好きな言葉は『平家物語』の一節に出てくる「驕れる人も久しからず」。どんなときも決して有頂天になることなく、常に自身と向き合っています。
「幼い頃から母に言われていた言葉で、トップアスリートになった自分への戒めとして心にとどめています。大会で優勝した瞬間から、私は他の選手が超えるべき目標になります。次の大会でも優勝するためには、私自身もさらに練習を重ねなければなりません。ベストを尽くした上で、それでも負けたときは相手をリスペクトします」

活動的な 30 代を支えた滋養強壮剤

 杉浦さんは幼少期からスポーツに親しみ、パラアスリートになる前の 30 代は仕事、家事育児、趣味のトライアスロンやロードレースを精力的に行っていました。そんな充実した日々に飲んでいたのが滋養強壮剤です。
「すべてに全力投球で、かなりハードな毎日でした。朝は5時前に起きてスイミングに行き、家事や仕事をこなしつつ、帰宅後もトレーニング…。そんな私を見て、娘は『どうして朝から泳ぐ元気があるの?』なんて驚いていました。今振り返ると、あんなに活動的な日々を過ごせていたのは、当時飲んでいた滋養強壮剤のおかげだと思います。実家が薬店のため、お客さんに話をするために飲み始めましたが、好きなことを楽しめる健康な体づくりに役立っていたのかもしれません」
 トップアスリートとして活躍する今は、健康維持には人一倍気を使っているそう。
「日ごとに変わる体のコンディションをよく観察しながら、自分自身をケアすることが大切。毎日、管理栄養士さんにその日のトレーニング内容、消費カロリー、体重、体脂肪率などを送ってアドバイスをもらいます。食事のメニューは自分で考えて、疲れているときはビタミンBを含む豚肉を多く食べようとか、血液の流れがよくなるようEPAを含む魚を食べようとか。睡眠の質もパフォーマンスに大きく影響するので、夜はブルーライトを発するスマホは見ないようにしています」

悪いことは良いことの前触れ

 現在 53 歳の杉浦さんは、次の大会を見据えてトレーニングに取り組んでいます。
「直近の目標は、2024年に開催予定のパリパラリンピックへの出場です(※)。練習への意欲もより高まる一方、思うようにタイムが出ないと落ち込むことも。そんなときは『悪いことは良いことの前触れ』と自分を励まします。『悪いことが起きたらラッキー!』って喜ぶぐらい、楽観的な方がよいんじゃないかと思ってますから(笑)」
 大元気の読者に、いくつになっても元気で過ごすためのメッセージを伺いました。
「いつまでも自立的な生活を送り、好きなことを楽しみたいですよね。健康な体を維持して、充実した毎日が送れるよう些細な工夫からでも始めてみてください。私も健康維持のために、さまざまな形で運動を続けていこうと思います」
※この記事は、2024年2月に行われた取材をもとにしています

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プロフィール

杉浦 佳子

1970年静岡県出身。2017年よりパラサイクリング選手として数々の大会に出場し、2021年東京パラリンピックで金メダル2冠を達成。2021年、紫綬褒章を受章。

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